独占欲強めな外科医は契約結婚を所望する
愛花先生は軽く目を伏せ、悔しげにつぶやく。
「彼女も、小田切先生みたいにワガママならよかったのに……」
「彼女?」
「……いえ。貴重なご意見ありがとうございました」
淡々と言ってペコっと頭を下げると、愛花先生は医局に戻っていった。
いったいなんだったんだろう。患者の心理を知りたいという話だったが、まるで自分のことのように……。
らしくない彼女の姿を不思議に思ったが、その日は忙しくてそれ以上彼女と言葉を交わす機会がなく、彼女の真意はわからないままだった。
翌日、四月一日。新年度を迎えた小田切総合病院には多数の新しい職員が加わった。
俺たちの脳神経外科にも、研修医や新人看護師などの新しいメンバーが数人加わり、なんとなく新鮮な気持ちになる。
……しかし、その中のひとりに、どうも気に食わない奴がいる。