独占欲強めな外科医は契約結婚を所望する
「まさか、愛花さんがここで脳外科医をされているなんて……色々とご指導ご鞭撻のほど、よろしくおねがいします!」
「そんな大げさな……。私だってまだちゃんとした脳外科医じゃない、ひよっこだよ」
その日、たまたまナースステーションの前を通りかかった時、ひとりの新人男性ナースと愛花先生が、打ち解けた様子で話していた。
新人ナースは愛花先生より十センチくらい大きい程度の小柄な体型で、ふわふわにカールした茶色い髪に中性的な顔立ちの、美少年という感じの風貌だ。
あのナース……新人の西島とか言ったっけ。彼女と知り合いなのか?
俺はさりげなく足を止めて、遠巻きに彼らのやり取りを観察する。
「でも、医者は医者じゃないですか。やっぱ愛花さんはカッコいいです」
「褒めてもなんも出ないよ?」
「別に見返りを求めてるわけじゃ……。あ、でも明日の歓迎会は来てくれますよね?」
歓迎会……。そういえば、俺もナースたちに誘われていたっけ。面倒だから、『奥さんがいいって言ったらね』と適当に濁したままだ。
当日も素知らぬ顔でバックレるつもりだったが、愛花先生が行くなら話は変わってくる。