独占欲強めな外科医は契約結婚を所望する
以前の俺なら、彼女同様、飲み会関係に乗り気になることなどなかった。しかし今回ばかりは明日の歓迎会のことを想像すると鼻歌を歌いたくなるくらい、浮かれているのだった。
そして迎えた翌日。幸運なことにイレギュラーなオペなどは特になく、無事に歓迎会に参加できた。
脳神経外科の医師と看護師のうち、夜勤や当直で勤務中の者を除いた十三名が、病院からほど近い居酒屋の個室に集まっている。
医師は、俺、愛花先生、蓮見先生、研修医がふたり。それから脳神経外科のトップである部長の舟木先生。残り七名の内六名が女性ナースで、残りのひとりが例の新人、西島旭である。
「……では、小田切総合病院脳神経外科のますますの発展を祈って」
遠慮がちに乾杯の音頭を取るのは、舟木先生だ。ナースたちが〝昭和のイケメン〟と称している、白髪交じりのオールバックがトレードマーク。
いつも苦み走った顔をしていて無口なのだが、ただシャイなだけで、とてもいい人である。
「かんぱーい」
十三人の声が揃い、ビールのグラスが中央で合わさると、それをきっかけにしたように料理が運ばれてきた。
ここは北海道料理を売りにしている店らしく、新鮮そうな刺身やじゃがバター、ほっけ、鮭のちゃんちゃん焼きなどがテーブル一杯に並んだ。