独占欲強めな外科医は契約結婚を所望する
「違いますよ。……緊張をごまかすためです」
「緊張? このメンバーで?」
新人が数名いるとはいえ、お馴染みの顔ぶれじゃないか。
首を傾げていると、愛花先生は少し酔ってきたのか、わずかに潤んだ瞳で俺をじろりと睨んだ。
「……隣に誰かさんが座ってるから」
ちょっ……、そんなかわいいの、ずるいだろ。
思わず彼女から目を逸らし、緩みそうになった頬をきゅっと引き締める。そして、周囲に怪しまれないよう淡々としたテンションで、話を続ける。
「意識してくれてるのはうれしいけど、お酒はほどほどにね」
「……はい。わかってます」
ああ、やばいな……。俺たちだけの、秘密の空気を共有しているこの感じ。ときめくなという方が無理だろう。
「小田切先生、お料理どうぞ~」
その時、ちょうどナースが山盛りに料理を乗せた皿を差し出してきて、愛花先生との密やかな甘い空気を堪能していた俺を、一気に萎えさせる。