独占欲強めな外科医は契約結婚を所望する

 ……いいだろう、これくらい。本当はもっともっと、きみのこと自慢したいくらいなんだから。

 俺はそんな意地悪な気持ちで、ナースの質問にできるだけ丁寧に答える。

「奥様、見た目はどんな感じですか?」
「髪型は黒髪のストレートロングで、俺より三十センチも背が低くて、目がくりっとしてて、鼻が小っちゃくて、唇は思わずキスしたくなる桜色――」

 と、説明している最中のことだった。

「小田切先生!」

 俺の説明にかぶせるように、愛花先生が急に立ち上がり、声を張り上げた。彼女はキッと俺を睨みつけ、かと思うとむんずと腕を掴んできた。

「どうしたの? 愛花先生」

 彼女がなにに怒っているのかは察しがつくが、しらじらしくその顔を覗く。彼女はますます眉を吊り上げ、俺の腕を引いて無理やり席を立たせた。

「……ちょっと来てください」
「なに? 今、せっかくかわいい奥さんの自慢してたのに」
「いいから!」

 ぴしゃりと厳しい声を浴びせられ、俺はすごすごと宴席からはずれた。

 ナースたちは一様に「なにあれ?」と言いたげな顔をして、俺たちを見送っていた。

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