独占欲強めな外科医は契約結婚を所望する
「こ、殺す気……ですか……」
「……死んじゃいそうなほど気持ちよかったってこと?」
「誰もそうは言ってません!」
「なーんだ、残念」
クスクス笑いながら彼女を立たせてやり、そろそろ店に戻ろうかとくるっと方向転換したその時。背後でドサッと音がしたので振り向くと、支えを失った愛花先生が再び地面に尻もちをついて、泣きそうな顔をしていた。
「た……立てません」
「えっ? ……まさか、そんなにキスが効いたの?」
彼女は顔を真っ赤にして、ふいっと目を逸らす。
……完全に図星じゃん。なにそれもう、かわいすぎるって。
俺は彼女のもとに歩み寄り、しゃがんで目線の高さを合わせ、優しく問いかける。
「帰ろっか。タクシー呼んで一緒に」
「そ、それは絶対ダメです……! 同時に帰るなんて、変なふうに思われます」
「俺は別に思われてもいいんだけどな」
「あなたがよくても私が困るんです!」
うーん……。まぁそうか。女の嫉妬は怖いからな。それで愛花先生がナース達からなにか言われてもかわいそうだし。
俺は仕方なく一緒に帰ることは諦め、愛花先生のためにタクシーを呼んだ。
そして彼女がちゃんと乗車するところを確認してから、皆の元に戻るのだった。