独占欲強めな外科医は契約結婚を所望する

 個室では、俺が戻ってきたことに気づいていないナース軍団が、なにやら愚痴を言い合っていた。

「ありえなくない? 小田切先生に対してあの態度」
「仕事中も愛想ないよね~。お高くとまってるっていうか?」
「いつも飲み会欠席なのに今日は来たってことは、もしかして早乙女先生も小田切先生狙いだったりして……!」
「え~? だとしたらもうちょっとメイクとか服とか気合入れてこない?」

 なるほど。愛花先生が懸念していたのは、これか……。

 本人のいないところで彼女の陰口を叩くナースたちに気分が悪くなり、俺はわざと大きく咳ばらいをしながら元の席に座る。

 ナースたちは途端に口を噤み、取り繕った笑みを浮かべる。しかし、しばらくすると我慢できなくなったようにまた顔を寄せ合い、コソコソ会話を始める。

「……なんでいなくなってるんんだろう、早乙女先生」
「知らない。聞いてよ小田切先生に」
「でも、なんか機嫌悪そう……」

 ああ、すこぶる悪いよ。きみたちのせいでね。

 心の中でそう答えつつ、すっかりぬるくなってしまったビールをあおる。すると、さっきまで愛花先生がいた空席の向こうから、蓮見先生が不思議そうに尋ねてきた。

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