センチメンタル・ジャーニー ~彼を忘れるための一人旅

部屋で 荷物を開いた後で

私は 早速 クラブラウンジに下りてみた。


豪華で 落ち着いた空間に 少し 気後れしたけど。

私は 背筋を伸ばして 堂々と 入って行った。


時間的に デザートタイムだったようで。

ホットコーヒーと スイーツを少し頂いて。


いつもなら スマホを見るところだけど。

代わりに 文庫本を 開いてみる。


非日常感が 高まった空間で。

やっと 文字が 心に入ってきて。


美しい文章に 引き込まれて。


私は 自分のいる場所さえ 忘れるほど…


初めて この小説を 読んだのは 高校生の頃。

多分 主人公のセシルの 年頃だった…


あれから 10年近く 経って

久しぶりに 開いた小説は 

全く違う形で 心を揺さぶる。


1時間くらい 夢中で 本を読む私に

コンシェルジュが 飲み物の おかわりを 聞きにきた。


「ノー サンキュー」

笑顔で 答えて 私は 部屋に戻った。





< 12 / 57 >

この作品をシェア

pagetop