センチメンタル・ジャーニー ~彼を忘れるための一人旅

部屋に入ると 私の集中は 途切れてしまった。

小説の 続きは 読みたいけれど

多分 もう集中できないだろう。


そのまま ベッドに 倒れ込んで 目を閉じる。


今頃 日本で 奏斗は どうしているだろう…


ラインを開きたくなって スマホを取ったけど。

そのまま 電源を切って スマホを置く。


全く 連絡がつかない 私を

奏斗は 心配しているだろう。


事務所に聞いて 私の休暇を知ったら 驚くはず。


私は 奏斗に 心配してほしいの…?

別れを決めて 旅立ったはずなのに。


奏斗がいなくても 大丈夫って

自分で 確認したかった はずなのに。


違う… 旅先を クアラルンプールに 決めた時点で

私は 奏斗と 別れたくなんか なかった。


大胆な 行動をして 奏斗を 驚かせたかっただけ。

突然 いなくなることで 奏斗に

私の存在を 気付かせたかった。


私は いつでも いなくなる奏斗を 見送っていたから。








< 13 / 57 >

この作品をシェア

pagetop