小説世界に転生したのに、八年たってから気づきました
「ふたりとも……何してるんだい」
「誰だ!」
咄嗟に、レオが私を抱き込んで守る体勢を取る。裸の胸に頬が押し付けられる形となり、さすがに私だって赤面する。
レオこそ恥じらえよと、ちょっと思ってしまった。
だが声の主はクロードだったようで、レオは直ぐにホッとしたように手を離した。
「なにをやってるんだい、レオ。いくら婚約者だからといって……って、リンネ、どうした? 涙目じゃないか」
クロードが私の顔を見て、慌てて寄ってくる。レオもそこでようやく私の目が潤んでいることに気づいたのか、「待て。襲われたのは俺の方だぞ?」と弁明しだした。
「クロード。レオの体が……」
魔法陣のことを言おうとしたら、クロードは苦笑した。この反応をみるに、クロードはとっくに知っていそうだ。
「ああ。バレちゃったんだね。この魔法陣のこと」
「知ってたなら、どうして教えてくれなかったの?」
「レオに止められてたんだよ。知ったところで、どうこうできるものじゃないからね。魔法陣を描き出したのは二年前くらいからだけど、残念ながらこの魔法を止める方法も、魔法陣を消す方法も見つかっていないんだ。心配かけるだけなら教えない方がいいって」
なんだと?
私は思わずレオを睨む。
たしかにできないかもしれないけれど、だったら心配くらいさせてくれたっていいじゃないか。なにも知らずに呑気に笑っていた自分が、なんだかとても嫌になる。
「誰だ!」
咄嗟に、レオが私を抱き込んで守る体勢を取る。裸の胸に頬が押し付けられる形となり、さすがに私だって赤面する。
レオこそ恥じらえよと、ちょっと思ってしまった。
だが声の主はクロードだったようで、レオは直ぐにホッとしたように手を離した。
「なにをやってるんだい、レオ。いくら婚約者だからといって……って、リンネ、どうした? 涙目じゃないか」
クロードが私の顔を見て、慌てて寄ってくる。レオもそこでようやく私の目が潤んでいることに気づいたのか、「待て。襲われたのは俺の方だぞ?」と弁明しだした。
「クロード。レオの体が……」
魔法陣のことを言おうとしたら、クロードは苦笑した。この反応をみるに、クロードはとっくに知っていそうだ。
「ああ。バレちゃったんだね。この魔法陣のこと」
「知ってたなら、どうして教えてくれなかったの?」
「レオに止められてたんだよ。知ったところで、どうこうできるものじゃないからね。魔法陣を描き出したのは二年前くらいからだけど、残念ながらこの魔法を止める方法も、魔法陣を消す方法も見つかっていないんだ。心配かけるだけなら教えない方がいいって」
なんだと?
私は思わずレオを睨む。
たしかにできないかもしれないけれど、だったら心配くらいさせてくれたっていいじゃないか。なにも知らずに呑気に笑っていた自分が、なんだかとても嫌になる。