水曜の夜にさよならを
「最近多いね」
「多いって言っても樹の残業ほどじゃないよ。仕事の不満何にも言わないけど、ないの?」
「ドリンク、スナック無料っていう環境があるだけで十分でしょう」
「仕事量考えたら、そんなの当然の権利よ。わたしだったら、退社した後会社に呼びつけられたら、翌日は午後出勤にしろって上司に訴えちゃう。樹もそういうの改革しなきゃ」
熱のこもったわたしの意見に、樹は苦笑する。
「おれには無理かな」
「なんで。わかんないよ? やってみないと」
「ひとりで必死に声を上げてみたところで、その先には絶望が待ってるだけだしね。そういうのも疲れる」
「そこは努力次第なんだって。あ、樹。こっちだよ。ちゃんと見ていかなきゃ」
わたしは半歩先を歩く、樹の腕を引いた。会の締めくくりは中三の夏、わたしが猫を拾った公園のパトロールだ。
路地を折れ、誰も居ない深夜の公園に入った。茂みの隙間、ベンチの下と、スマートフォンのライトで照らしながら巡回し、入り口に戻る。
「多いって言っても樹の残業ほどじゃないよ。仕事の不満何にも言わないけど、ないの?」
「ドリンク、スナック無料っていう環境があるだけで十分でしょう」
「仕事量考えたら、そんなの当然の権利よ。わたしだったら、退社した後会社に呼びつけられたら、翌日は午後出勤にしろって上司に訴えちゃう。樹もそういうの改革しなきゃ」
熱のこもったわたしの意見に、樹は苦笑する。
「おれには無理かな」
「なんで。わかんないよ? やってみないと」
「ひとりで必死に声を上げてみたところで、その先には絶望が待ってるだけだしね。そういうのも疲れる」
「そこは努力次第なんだって。あ、樹。こっちだよ。ちゃんと見ていかなきゃ」
わたしは半歩先を歩く、樹の腕を引いた。会の締めくくりは中三の夏、わたしが猫を拾った公園のパトロールだ。
路地を折れ、誰も居ない深夜の公園に入った。茂みの隙間、ベンチの下と、スマートフォンのライトで照らしながら巡回し、入り口に戻る。