第一王子に、転生令嬢のハーブティーを II
「……」
アリシアの問にに、イルヴィスは意外そうな表情を浮かべた。
数秒の間迷ったように視線を落とし、軽く息を吐いてから言った。
「あのカフェの店員、確かリリーという名だったか。彼女は元気にしているか?」
「…………え?」
「私がまだ学園に通っていた時だから、四年ほど前か。あの裏道にあるカフェには足繁く通ったものだ」
「待ってください話が見えない……えっと、まさかおっしゃっているのは【Cafe:Lily】のことですか?」
アリシアが行き慣れたカフェの名前を出すと、彼は静かにうなずく。
「まあ、目当てはあの静かな空間でも香りの良い紅茶でもなく、常連客の貴女だったがな」
「なっ、え?ええ」
「貴女は『アリア』と名乗っていたな。貴族令嬢の身分は隠していたんだったか」
予想外の事実に混乱する。記憶を辿ろうと頭を抱えた。
イルヴィスは頬杖をつきながら、どこか照れくさそうに笑う。
「やはり覚えていなかったようだな」
「ま、待ってください!今思い出します……!」
「私は貴女を初めて見た瞬間のことから、交わした話の内容まで全て覚えている」
「四年前ですよね……ええと……」