新」世界で唯一のヒーラーは生殺与奪を握っている。復讐の物語り
 命令されたから貴族を優先したという事実はあるものの目の前で見捨てた事実は消えることはなくてアリシアは毎夜のように罪の意識に苛まれていた。どうして私がこんな思いをしないといけないかと神様を恨みごとを言っても何の状況も変わる事はない。

 その日も上官に呼ばれてアリシアは貴族の治療に当たっていた。いつもながら傷口は浅い。ここにくるまでにアリシアは三人の敵兵を切り伏せていた。三人の命を奪って、私はこんなかすり傷を治すのかと思うと自分が情けなくなって目頭が熱くなった。涙が出そうになるのを我慢して、ヒールと唱える。

 傷口は淡い光に包まれ一瞬で何事もなかったように回復していく。貴族の男は傷口を眺めて肩をぐるぐるまわして、何処にも異常がない事を確認した。

「また頼む」と一言告げると戦場に戻っていく。
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