【コミカライズ】漆鷲社長の寵愛は突然に―地味っ子眼鏡への求愛のしかた―
まだうっすら会社員が行き交うビルを出て、私たちは肩を並べて夜の歩道を歩いた。
どこに行くんだろう。
そう思いつつ、いつもより口数が少なくどこか複雑そうな顔をする社長にそんなことを聞く度胸はなかった。
やっぱり迷惑だったのかな⋯⋯
ひとりでズキズキ胸を痛めていると
「⋯⋯わがまま言ってごめん」
「え⋯⋯?」
会社から少し離れたところで、小さな声が耳に入り社長は歩みを止めた。
私の指先を遠慮がちに社長の長い指先が包み、引き止めるような仕草を見せる。
なんのこと⋯⋯?
歩みを止めて、理解に追いつかないような顔を上げると、素顔をさらけ出した社長が、なんとも言えないような表情で口を開く。