【コミカライズ】漆鷲社長の寵愛は突然に―地味っ子眼鏡への求愛のしかた―
社長がセキュリティを解除して部屋に入ると、オート照明がパッとついた。
集合住宅だとは思えないような、開け放たれた広々した空間が目について、噂どおりの高級物件に眩みそう。
社長は私をその腕に抱いたまま、アンティークの調の家具たちの前を素通りして、リビングにある大きなソファに下ろしてくれた。
まるで大切なもののように丁寧にされる行為がくすぐったくなる。
「ちょっと待ってて」
「あ、はい⋯⋯」
頭に手のひらを置いて、広い部屋のどこかへと消えていく。
さっきみたいなトゲトゲした雰囲気はない。
一体、さっきまでのは、なんだったんだろう?
ソファに手を置いて社長の姿を視線で探そうとしたら、あまりにも柔らかくて転びそうになった。
ふかふかのワインレッドのL字型の巨大ソファ。巨大なのに部屋が広すぎて、そうでもなく見える。
スクリーンのような巨大なテレビが目の前にあって、気品溢れるガラスのテーブルが足元にある。
集合住宅なのに天井はたかいし、照明はシャンデリアがいくつか釣り下がっている。
社長室同様、ものは少ないけどどれも洗練されている上に、手入れまで行き届いていた。
社長に家事力があるとは思えないし⋯⋯ハウスキーパーさんとかがいるのかな。