【コミカライズ】漆鷲社長の寵愛は突然に―地味っ子眼鏡への求愛のしかた―
「なんで⋯⋯」
「――君は鈍そうだからな⋯⋯」
社長はポンポンと頭を撫で身体を開放すると、冷めきった紅茶に口をつけたあと続けた。
「――心が狭いのはわかっている。でも、君が思ってる以上に僕は必死なんだ⋯⋯。ようやくここまで近づくことが出来たのに、ずっと君を隣で見守ってきた彼に、奪われたら困ると思った。」
「そんなことは⋯⋯」
奪われるもなにも
私の気持ちは、社長にある。
「そのうえ、明日からしばらく出張でここを離れる⋯⋯気づいたら、君に会いたいと言っていた」
広すぎるリビングルームの隅に、大きな黒のスーツケース。
それを見ていたら、少しだけ寂しさを感じた。
社長は膝の上に肘をついて、そしてそのうえ手を組んで、口元に当てる。