【コミカライズ】漆鷲社長の寵愛は突然に―地味っ子眼鏡への求愛のしかた―
それからポツポツといつものようにと会話が行き交い始めた頃――
「あ、そろそろですね」
「そんな時間か⋯⋯」
時計に視線を配ると、島田さんが社長のことを迎えに来る時間が近づいていた。
飲み終えたティーカップを手に、気後れするくらい豪華なアイランドキッチンへやってくると、どこか離れ難そうな社長も後ろをくっついてきた。
「出張から帰ったら、君と出かけたいな」
「出かける⋯⋯?」
「デートしよう。休暇くれるって島田が言ってたんだ」
返事をおろそかに、私が食洗機の使い方に戸惑っていると、ツカツカ歩いてきた社長は、「そんなのいいから」とカップをシンクへと置いて、私を再びリビングのソファへと座らせる。
そして彼も当たり前のように、肩が触れそうなほど近い距離に座ってきた。
涙を見せてしまったから気遣っているのか、それとも自分の気持ちを吐き出せてスッキリしたのか⋯⋯
どっちにしろ、私からすれば⋯⋯困る。
社長のことは確かに好きだ。
でも、だからといって、“あと1ヶ月”は変わらない。
私はそれを越えるつもりはない。
これ以上離れ難くなるようなことも、できればしたくない。