【コミカライズ】漆鷲社長の寵愛は突然に―地味っ子眼鏡への求愛のしかた―


それから二週間ほど経過した夜。

僕は、一本の連絡を受けて、田園調布にある実家へと向かった。

洋館のような門構えに嵌められた表札には『漆鷲』
欧州の城を意識した壮麗で華やかこの邸宅は、僕が生まれ育った場所だ。


「永斗お坊っちゃま、おかえりなさいませ」
「ただいま。祖父のところへ行くから夕食はそちらに」

「承知しました」


エントランスに入ってすぐ、出迎えた家政婦に上着や荷物を預け、そのまま長い廊下の先にある、祖父の住む別邸に向かった。

今日、僕を呼び出したのは、祖父。

旧漆鷲財閥の現在の当主であり、『漆鷲ホールディングス』の会長、漆鷲 栄(サカエ)。


時代遅れのアンティーク調のインテリアでひしめく祖父の邸宅はきらびやかで、幼い頃はここをよく隠れ家にしていた。

母に怒られて、祖母の元に逃げて、隠れんぼなどをしていた時代が懐かしいな。


そんな懐かしい屋敷で、こんなことを言われるとは―――

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