【コミカライズ】漆鷲社長の寵愛は突然に―地味っ子眼鏡への求愛のしかた―



「永斗。縁談を受けろ」


厳かな書斎に入って、開口一番にこれだった。

祖父、いや、じーさんは白いひげをなでて、一人用の腰掛け椅子から不機嫌そうに、対面に腰を下ろした僕を睨みつけている。


「いきなり⋯⋯なに? うちの家族はみんな恋愛結婚してると思ったけど⋯⋯思い違いかな」


あからさまに、眉間に深くシワを寄せた僕が、乱暴に腰を下ろすと、木製フレームのソファが音を立てて軋む。

由緒ある『漆鷲家』

縁談なんて星の数ほど舞い込むのは知っているが、元から大きな力も持つ漆鷲家にとって、政略結婚をしたところで利益があるのは相手側。

元より、両親なんて海外留学中の授かり婚だ

ばーさんはだいぶ昔に亡くなっているが、二人だってじーさんの猛アプローチの末の恋愛結婚だ。

なのに、なぜ僕にだけ縁談をさせようとするのか。

⋯⋯とは言っても思い浮かぶのはただ一つ。

血縁だ。
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