【コミカライズ】漆鷲社長の寵愛は突然に―地味っ子眼鏡への求愛のしかた―
「わしはずっと我慢してきたが⋯⋯お前はもう、35だろう。漆鷲家の直系の孫はお前1人なんだぞ。このままじゃ血が途絶えかねないだろう」
家政婦の女性が熱いコーヒーを置いて退室すると、じーさんはゆっくりと話をはじめた。
まるで僕に言い聞かせるように切実だが、目を伏せたくなる。
「まだ34だよ。今じゃ、この年で結婚していない人は、たくさんいる」
「屁理屈ばっか言いおって。後、三ヶ月で35だぞ。5年もすれば40だ」
祖父はコーヒーを口にしながら、白髪眉をキュッと寄せた。
厄介だな。
歴代の当主の中でも、ホールディングスをひときわ大きく成長させた祖父は、言い出したら聞かないという頑固なところがある。
しかし、今回ばかりは聞けないな。