【コミカライズ】漆鷲社長の寵愛は突然に―地味っ子眼鏡への求愛のしかた―
頭を抱えた僕の脳裏には、あの日資料室で見た、あの透き通るような笑顔がよみがえる。
まだなにもはじまっていない。
ここで終わりにはしたくない。
「悪いけど、今回ばかりは従えない。」
少し低い声で拒否の姿勢をあらわにすると、珍しくじーさんが大人しくなった。
表情を見て、真剣なことを察したんだろう。
八十を過ぎても長い足を組み替えながら、面白そうに僕を見つめてきた。
「ほう、なぜだ?」
絶対分かっているくせにな。
「好きな人がいる。」
僕が彫りの深いシワだらけの顔を見て、真っ直ぐ言うと、白い髭をなでながら静かに口元を緩めた。
「そうか―――なら」