気まぐれな猫と俺様束縛系飼い主のちょっと危険で甘い生活
「グハッ・・ゲェェ・・た、たす・・けて・・く・・れ・・。」

「・・ヤ、ヤメロ・・ギャァァァ・・・。」

繁華街の路地裏には錆びた鉄の匂いが漂っていた。


黒のパーカーにエメラルドグリーンの瞳で立つ自分の周りには、何人もの
男達が倒れていた。

あれから、毎晩のようにこうして飢えた獣の様に喧嘩に明け暮れている。

いくら殴っても殴っても、気持ちは飢えていくばかりで満たされない。

カツカツカツ・・。

一人の男が紫煙を纏いながら近づいてくる。

「なぁ、CAT。
 あいつを信じてやってくれないか。
 あいつは、お前が大事すぎてどうしたら良いか分からなくなっている。
 あいつを救い、目を覚まさせるのはお前にしかできないんだ。
 出来の悪い、手のかかる弟ですまない。」

それだけ言うと、また来た道を戻って行った。

背中越しに聞こえた言葉に私の頬から涙が伝う。

ハァ~、揃いもそろって弟思いの兄貴たちだなぁ~。

全く、ブラコンかっての。


見上げた空には、三日月が翳んで見えた。

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