気まぐれな猫と俺様束縛系飼い主のちょっと危険で甘い生活
修学旅行
見渡す限り快晴の空が広がっていた。

11月だというのに、ここはTシャツでも十分過ごせる陽気だ。

「夏木さ~ん、次はジンベイザメ見に行くよ~」

「うん」

楽しそうに声を掛けるクラスメートにニコやかに声を返す。

そう、私は今修学旅行で沖縄に来ていた。

クラスメートと向かった先には巨大な水槽があって、広い空間を悠々と
泳ぐジンベイザメやマンタを見ていると、ここに来るまでの数日間の
荒れてすさんでいた心と身体が浄化されていくような気がした。

この旅行中は何もかも忘れ、一人の高校生として楽しもう。


「夏木さ~ん、次はサンゴの海だって・・・行くよ~」

「は~い」

普段あまり関りを持たなかったクラスメートとも、それなりに楽しい時を
過ごし、一緒に写真を撮ったりアイスクリームを食べたり、今までの私じゃ
ないような時間を楽しんだ。

夕方、宿泊地のホテルに戻る。

夕食後は各自自由。

部屋から窓の外を見れば砂浜が見える。

「少し砂浜でも散歩するか・・。」

砂浜に出るとちらほらと同じ学校の生徒の姿が見えていたが、いつの間にか
辺りは暗くなり、砂浜には私だけが残っていた。

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