気まぐれな猫と俺様束縛系飼い主のちょっと危険で甘い生活
寄せてはかえす波をぼんやり見ながら俯き加減に歩いていると、目線の
先にこの場には不似合いな革靴が目に入る。

少しずつ目線を上げれば、そこには思ってもみなかった蓮の姿。

「何でここにいるの?」

「・・・・・。」

「用がないならどいて。」

蓮の脇をスタスタと通り過ぎるはずだった・・・。

「・・・・行くなよ。」

蓮は私を後ろから抱きしめる。

私を抱きしめるその身体は少し震えているようで、弱々しく感じた。

「・・・悪かった。」

「らしくないんじゃない?あんたはキングでしょ?」

「あぁ、そうだな。」

「私の知ってるキングは、太々しい程に偉そうで俺様で、鋭い瞳で相手を
 射抜くの。
 そして、誰もが容易く近づく事ができないような圧倒的なオーラを出して
 いるような特別な男なの。
 間違っても女の事で弱くなったり、利用されるような男じゃないわ。」

「ああ。」

「ねぇ、知ってる?キングの女はCATっていう強くてとっても良い女なの。
 その辺の雑魚に潰されるようなヤワな女じゃないわ。」

「ああ。」

「そして、CATはとっても嫉妬深いの。
 他の女に身体を触らせるような男なんて、必要ないわ。」

そう言うと私を抱きしめる腕の力が一層強くなる。

まるで、離してなるものかというように・・・。

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