青いスクラブの王子様。~私が惚れたのは、一等級の外科医だった件~
182センチあるという彼はスレンダーで端正な顔立ち。
モデル体型の彼が着用する、外科医の青いスクラブ。
紺色に近い青の生地に、脇下からズボンにも入っている黒い線が、テンちゃんの美ボディを際立たせている。
上から白衣を羽織れば、その美しさは倍増する。
ポケットにはペンが三本、黒と赤と青。
A型、おとめ座、二十九歳。
この情報は、稜君に聞いたものだから決してストーカーなどではない。
二十九歳という若さで五手の神器の仲間入りとは、尊敬、憧れ以外の感情を抱けない。
「あ、みやびちゃん来てたんだね。稜は最近来てないらしいけど」
「稜、忙しいみたいで」
姉とテンちゃんが会話する中、みやびちゃん、と呼んでくれたこと、いや、名前を覚えてくれていたことが嬉しくて顔がにやける。
私がエンジェルウィング病院に来る楽しみは、王子に会うこと。
ホテルのようなここに来るのももちろん楽しいし、姉に会いたいというのもある。
でも一番は王子に会うことなのだ。
しかも、いつもはだいたい姉のお見舞いの後に、ナースステーションとフリースペースを挟んだ向こう側にある外科の彼をこっそり見るだけ。
それがなんと今日は、ここで会えたんだから!!
しかも名前を呼んでくれたし…!
王子降臨…!本日も尊い……!
これで、私は明日からの獄務に耐える心が出来上がった。