青いスクラブの王子様。~私が惚れたのは、一等級の外科医だった件~
翌日は予想通りの獄務で、一週間、病院には行けなかった。
連日、浪川部長を無視したことによる地獄の残業のおかげで、王子も睡眠も不足している。お腹も空いたし早く帰りたいのに、外は寒くて私の足取りをますます重くする。
錆び付いた冷たい手すりを掴みながら歩道橋の階段を降りている時、一瞬目眩がして立ち止まる。
こめかみを抑えると、ズキズキと頭が痛い。顔を歪めながら足を踏み出したとき、先程より強い目眩に襲われ、手すりから手を離してしまった。
ここは階段。しかも下に三十段以上はあるはず。
落ちる…これはやばい……!
危険を感じるのに、手すりを掴んで立て直す力も余裕もなく、おもわず死を覚悟した時。
「ちょっ、と…大丈夫か?」
右腕をぐっと強い力で引っ張られ、そのまま勢い、何か暖かくて柔らかいものに体が当たった。
何度も私を呼ぶ声が聞こえた気がしたけれど、疲労困憊で意識を手放した。