青いスクラブの王子様。~私が惚れたのは、一等級の外科医だった件~




「と、言うわけで、そういうことです…」

「……結婚を前提に、って、展開早くない!?でも良かったね…!振られなくて!私、いつでも胸貸す準備できてたのに」


花菜ちゃん、やっぱり振られる前提じゃない……。

てぃーのにてテンちゃんと付き合うことになった旨を話すと、彼女は口に手をやり、奥二重の大きな瞳を瞬かせた。

でも、展開早すぎるってのは、私も同感。
トントン拍子っていうか。
幸せすぎて怖い、ってこのことなのかも。


「私もそう思う。」

「う〜ん。…まぁいいじゃない。幸せなら!」


投げやりな気もするが、花菜ちゃんの飛びっきりの笑顔に嘘はないと思える。
私は「そうだね」と微笑み、コーヒーを飲み干した。


「そういえば、二号店がオープンする日、知ってる?」

「もちろん知ってるよ〜!来週の火曜だよね?」

「そうそう。その日は私達も二号店の方へ行って、このお店は休みにするの」

「え、体大丈夫なの?」

「やーね。大丈夫よ。まだ二ヶ月半もあるのよ?」


姉が産婦人科に入院しているのもあり、花菜ちゃんの体が心配だけど、二の腕をポンッと叩く彼女なら本当に大丈夫なのかも。

とはいえ、妊婦さんはいつ何があってもおかしくない。姉がそうだったように、それまで元気だったのに突然体調を崩すこともあるのだ。


「くれぐれも気をつけてね。
できればテンちゃんと一緒に行きたいところだけど、一人でも絶対行くからね」


私が念を押すように言うと、花菜ちゃんは「ありがとう。待ってるわね」と朗らかに笑った。

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