青いスクラブの王子様。~私が惚れたのは、一等級の外科医だった件~
テンちゃんの隣を歩きながら考えていると、彼は衝撃的な一言を放った。
「最近、外科の方見にこないな」
「………ぇ……」
驚きすぎて言葉が出ない。
私が外科を見ていたの、気がついてたの!?
ちょっと、まって、どうしよう………!
ど、どう弁解する!?いや、もう既に弁解の余地はない……?
「そ、そうですかねぇ……」
苦しい…なんて苦し紛れな。
とりあえずすっとぼけてみたけれど、テンちゃんは案の定、クククッと笑っている。
その含みのある笑みときたら………。
恥ずかしい。これは黒歴史だ…。
てぃーのの二号店は、テイクアウトも出来るということで場所は一階フロアの入口付近。
テンちゃんのように、仕事帰りに気安く寄れるようにというタカノミヤの社長さんの提案だそうだ。
西口から建物へ入ると、すぐに人だかりを伺えた。
てぃーのの落ち着いた雰囲気を残しつつ、大型ショッピングモールにはよく馴染んでいる。
歩みを進めると、右端のカウンターに、花菜ちゃんとオーナーの旦那さんを見つけた。
オーナーが目の前で淹れたコーヒーを、花菜ちゃんが笑顔でお客さんに振舞っている。
良かった。元気そう。