青いスクラブの王子様。~私が惚れたのは、一等級の外科医だった件~
他のお客さんに混じり、テンちゃんと共に花菜ちゃんの元へ寄る。
「いらっしゃいませ〜……あ!みやびちゃん!」
花菜ちゃんは、いつか私が初めててぃーのに立ち寄った時と同じ反応をした。
すると彼女は振り返り、オーナーを仰ぐ。
「たっちゃん、こちらがみやびちゃん。毎日来て下さるのよ!」
「…あなたがみやびさんでしたか。
いつもありがとうございます」
…オーナーって、強面なのね。
彼はいつも厨房にいるから、顔を合わせるのは初めてだ。
花菜ちゃんは、シャイなんだと言っていた。
「こちらこそ、いつも美味しいコーヒーありがとうございます」
綺麗すぎるお辞儀をされたので、私もニコッと笑って返すと、オーナーも心做しか口角が上がった気がした。
テンちゃんも傍らで頭を下げると、オーナーはお客さんに呼ばれて行ってしまった。
「ね、顔怖いでしょ。あの人、今日も本当は来たくない、とか言ってたんだけど、私は行くって言ったら即答で着いてきたのよ」
お客さんの対応をするオーナーの背を見つめながら、花菜ちゃんは「意外と心配性なのよね」と呟いている。
「たしかに見た目はインパクト強いけど、優しい旦那さんじゃない。」
「ふふ。そうね」
彼女は嬉しそうに頬をすぼめ、微笑んだ。