青いスクラブの王子様。~私が惚れたのは、一等級の外科医だった件~

申し訳ないけれどテンちゃんとの待ち合わせどころではなく、浪川が言った気になる話を頭の中で繰り返す。

テンちゃんは総合病院の後継ぎ…
彼には婚約者がいて…相手は星莉さん…。

「あの、ありがとうございました…助けていただいて…」

「…別に。襲われてたのがあなただって知ってたら助けなかったわよ」


星莉さんが何者であろうとも、命の恩人に頭を下げると、そっけない返事が返ってきた。


「一応言っておくけど、あのストーカー男の言った通りよ。私は蒼介の婚約者。彼を婿養子にもらって、彼と一緒にエンジェルウィング病院を継ぐの。」


どかんと、鈍器で殴られたような衝撃だった。
今しがたの恐怖体験の余韻に浸るのもほどほどに、それ以上の衝撃を与えられた。
彼女の口から淡々と語られる初耳話は、右耳から左耳に通り抜けて聞かなかったことにしたいくらいのものだ。

彼は攻略結婚のことを承知した上で私と付き合っていた。
つまりは私との付き合いは遊び、と。

嘘なら、わざわざ結婚を前提に付き合わなくてよくない?
しかもだって、私、テンちゃんが結婚させられそうだって言うから、恋人のフリをして彼のご両親にご挨拶しに行った。
そのことまで嘘だって言われても信じられない。

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