青いスクラブの王子様。~私が惚れたのは、一等級の外科医だった件~
心の中で名前を読み上げ、はっと目を見開く。
そこにいたのは、紛れもない、王子、不足していた王子、テンちゃんだった。
「……て、て、テンちゃん…!じゃなくて…天ヶ嶋先生!?」
「その様子だと、だいぶ回復したみたいだな。」
青いスクラブの上から白衣を着たテンちゃんがいるということは、ここは…エンジェルウィング病院…の処置室…?
「ビビったよ。目の前で人が階段から落ちそうになるし、受け止めたらみやびちゃんで、そのまま意識無くすし」
テンちゃんでいいからな、とか言いながら淡々と話す王子は、傍らでパソコンを操作していた。
長い綺麗な指がスピーディーに動いているのを、かっこいいなぁ、綺麗な指〜なんて思いながらぼーっと見惚れていると、王子がこちらを向いた。
「あと三十分くらいで点滴終わるけど、
どうする?お姉さんに言う?稜に迎えに来てもらう?」
どうやら私は点滴を受けているらしい。
王子は点滴のスピードを調整しながら私に話しかけている。
「姉には言わないでください。稜君も忙しいと思いますし、余計な心配かけたくないので。一人で帰れます。」