青いスクラブの王子様。~私が惚れたのは、一等級の外科医だった件~



「御曹司……」

「今それ関係ないからな。いいか、正直に言え。会社で、何があった」


ポツリと呟くとあっさりかわされ、何故かぎゅっと手を握られる。

テンちゃんに言えば、もしかしたら何か変わるかもしれない。
変わったら、救われるのは私だけじゃなく、会社の皆も、野々宮さんも。

また前のような、雰囲気の良い職場に戻るかもしれない。

皆でまた、飲みに行けるかもしれない。
だって、今年入ってきた子達は、半年でオフィスの空気が悪くなったんだよ?
そんなの、悲しいじゃないか。

テンちゃんに話せば、変わるかもしれない。戻れるかもしれない。
僅かな希望と握られた手から伝わる温もりが、私の口を動かした。






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