青いスクラブの王子様。~私が惚れたのは、一等級の外科医だった件~


「…はぁ。あのキツネジジイ、パワハラに及ばずセクハラにまで手を染めてたのか」


うん、テンちゃん、私も昼間全く同じこと思った。

本社の人事にセクハラとパワハラの報告があったことは、タカノミヤの社長に伝わっていたそう。

なんでも本社の人事の担当の人が、浪川部長にビビって弱腰になっていて、社長に助けを求めようにも出張中だったために、最後の砦として最大権力をもつタカノミヤの社長に手を伸ばした。

たまたまそれを耳にしたテンちゃんは、すぐに私を思い出し、事実確認のため私を待っていたとか。

事実確認のため。
ただ私を心配してくれていた訳じゃなかったのかと少し寂しくなっていると、

「お前は前科があるし様子を見に来て良かったわ。案の定、コンビニ生活してるしな。
…まぁでも、無事でよかった。よく耐えたな。偉い偉い」


ぽんと頭に手を置くテンちゃんは、子供を宥めるような口調だったけど、その優しい声音に、文句なんて出なかった。


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