青いスクラブの王子様。~私が惚れたのは、一等級の外科医だった件~
「じゃあ俺――っ」
暫しテンちゃんの暖かい笑みと向き合っていると、彼は頬を引きしめ突然立ち上がった。
そして何か言いかけた時、頭を抑えてくらりとその体が揺れた。
咄嗟に手を差し出すが、そもそも大の男を私が受け止められるはずもなく、見事にバランスを崩して背面のベットに倒れ込む形になる。
こ…こ、これは…なんとも…。
彼が覆いかぶさっていて動けず、どうしたものかと考える中、テンちゃんはいくら経っても動こうともしなければ何も言わない。
試しに首だけを、真横にあるであろう彼の顔に向けると、その顔は真っ赤に染まり額は汗ばんでいる。
吐く息は荒々しく、様子がおかしいのは一目瞭然。
「……テンちゃん?どうしたんですか?大丈夫ですか…?」
「……あぁ、ごめん…だ、だいじょ――」
大丈夫と言い切る前に咳き込みながら、懸命に体を起こそうとしている。
精一杯の力を出し切ったのか、彼はなんとか私の体から離れるとそのままベットに横たえてしまった。
私も体を起こし、そっと彼の額に手を添えると、驚く程に熱かった。
真っ赤な顔と荒い息、咳に汗。
熱がある。しかもかなり高そうだ。
もしかして、さっきの手の温もり、ねつのせい?