青いスクラブの王子様。~私が惚れたのは、一等級の外科医だった件~
「これ、飲んでるんですか?」
薬を掲げながら聞くと、コクリと頷いた。
「…解熱剤…です…」
そう聞けば、急いでコップに水を注いで持っていく。
体を支え起こして背を壁に預けさせ、薬と一緒に手渡すと、彼はすぐに薬を飲み込んだ。
喉仏が大きく動いたのを確認し、コップを受け取って再び横になってもらう。
権力持ってるんだからな、正直に言え、キツねジジイめ、なんて強気だったテンちゃんが、弱々しく横たえている。
私よりも体は大きいはずなのに、今の彼は随分小さな子供に見えた。
瞼を伏せて眠るテンちゃんの頬に、そっと指先だけ触れると、熱くて、弾力があった。
男の人にしてはまつ毛は長く、肌は綺麗。
チャンスとばかりに暫く美しいまでの寝顔を見つめていると、呼吸が先程より安定してきた。
薬が効いてきたのだと一安心し、規則的な彼の寝息に誘われるように、そのまま私も夢の世界へ入ってしまった。