青いスクラブの王子様。~私が惚れたのは、一等級の外科医だった件~
「うぐぁっ痛いっ!離せよっ」
急に気持ち悪い手が離れたと思ったら、後ろで悲鳴があがった。
「浪川さん。ちょっと来てもらえますか。今後のことについて話し合いましょう」
誰かが来たのは分かったが、残る恐怖で状況を理解できない。
振り返ることすら怖くて身動き出来ずにいると、
「―ごめん、遅くなった。大丈夫だ。もう大丈夫だからな」
何度も聞いたことのある声と共に、冷たくなった体に暖かいものがかけられる。
「テンちゃ…ん……ね、つは?もう大丈夫…なんです…か?」
「あぁ大丈夫だ。ありがとう。今は自分の心配しとけ」
かけられたのは毛布で、私は正面からもっと暖かいものに包み込まれていた。
テンちゃんが助けに来てくれた。
まるで王子様だね。
やっぱりテンちゃんは、王子様だね…。