青いスクラブの王子様。~私が惚れたのは、一等級の外科医だった件~
毛布ごと抱きしめてくれるテンちゃんに、私は必死でしがみついた。
怖かった…もうだめだと思った。
助けてくれてありがとう………
来てくれてありがとう…
言いたいことは山ほど頭に浮かぶのに、声にならない。
黙って抱きしめ続けるテンちゃんは、私の言いたいことを全部わかっているかのように、何度もなんども背中をさすってくれた。
耳に残る嫌な囁きを上書きして、忘れさせるように、「大丈夫、大丈夫だ。怖かったな。」彼は囁いた。
私はテンちゃんの服をきゅっと掴んで、
溢れ出る涙をとめられず、大きくて逞しく暖かい彼の胸の中で、今まで我慢してきた涙を全て出し切るようにしきりに泣いた。