青いスクラブの王子様。~私が惚れたのは、一等級の外科医だった件~
「どう、楽しかった?今日」
テンちゃんは帰り支度をしながら聞いてきた。
それはもう、楽しい以外の何ものでもなく、「はい」と笑うと、
「明日から俺忙しくなるけど、ちゃんと外出るんだぞ。その辺散歩するだけでもいいから」
私の頭に手を乗せて、幼子に言い聞かせるように言った。
もしかして、私を外に連れ出すために今日?
仕事が休みの間怖がって家から出ずにいるんじゃないかと心配して?
考えを巡らませていると、テンちゃんは神妙な顔つきになる。
「浪川は、しばらく本社で預かるって。地下倉庫の整理やらせて、様子を見るらしい。だから、平日は大丈夫」
「そうなんですか…」
それなら怯えることはないのかも。
それに、テンちゃんにこんな顔させたくない。
眉間にしわを寄せて私を伺うように覗き込む彼に、私はにっこり笑って見せた。
「ありがとうございます。ちゃんと外出ます」
テンちゃんの眉間のしわは消えて、代わりに眉根が下がった。
「本当は俺が一緒に居たいんだけどな」
「えっ?」
ぼそぼそ言っているので聞こえない。
聞き返しても、「なんでもない」の一点張り。
テンちゃんは、自分の分の食材を手に、帰っていった。