青いスクラブの王子様。~私が惚れたのは、一等級の外科医だった件~


ネットで開店時間を調べ、十時間際に部屋を出た。

寒さは早朝より幾分か和らいだけれど、素肌に触れる風はまだ冷たい。
コートを握りしめゆっくりと歩き出した。


こうして近所を歩くのは初めてかもしれない。
マンションは私の住む所だけで、あとは一軒家がほとんど。

閑散とした住宅街を抜けると、道路を挟んだ向こう側にそれらしい建物を見つけた。
木々に囲まれていて颯爽とした雰囲気をまとうその建物には煙突があり、煙が西に向かって流れている。

スマホの画像と建物を正面から見比べ、それがお目当ての喫茶店、『てぃーの』だとわかる。

苔が生えた石畳を踏みしめ、木目の扉をそっとひくと、カランカランと音が鳴った。

可愛らしいこじんまりとした外見と比例して、店内は薄暗くシックな雰囲気を極め、高々とした天井の太い丸太と奥深いコーヒー豆の香りが、店全体の雰囲気をまとめ、統一感をあらわにしている。

カウンター席が十席ほど、L字型に配置され、二人がけから四人がけの机と椅子がそれぞれ二席ずつ設けられ、それらはコーヒーと同じ色で、所々に傷が入っている。




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