青いスクラブの王子様。~私が惚れたのは、一等級の外科医だった件~


やっぱり、そうなるよね。

私が王子とオフィスを出ていってから浪川部長は消えているし、私も消えたも同然。

でも一つだけ、嬉しいことがある。

浪川部長がきてからというもの、朝からオフィスの空気は最悪だった。
誰一人喋らないし、淡々と業務をこなして昼休憩には逃げるように外に出る。

まだ始業時間まで時間があるから、今日は皆思い思いに過ごしていて、表情は明るい。環境が良くなったのが手に取るようにわかる。

良かった。それもこれも、テンちゃんのおかげだ。
随分遅くなってしまったけど、今度改めてお礼をしなくては。


「とりあえず…あの王子誰!?ま…まさか……か、彼氏…とか―」

「違う違う!彼氏じゃないよ。王子が彼氏なわけ…」


なんかチクチクするぞ。彼氏じゃない、って言うのが嫌だ。
っだとしても、彼氏じゃないんだからここは否定しなければ…。


「え〜じゃあ何よ!どんな関係なの〜!」


どんな関係…?どんな関係………?

私とテンちゃんって、うーん、友達?って思ってるのは私だけ…よね。
テンちゃんは、ただ……

この先は口に出したら自滅した気分になりそう。

テンちゃんとどんな関係か、私も聞きたい。


「まぁ、友達〜か、な?」


テンちゃんごめん!勝手に友達にしちゃいました!




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