青いスクラブの王子様。~私が惚れたのは、一等級の外科医だった件~
可憐に踵を返した女性の、しゃんと伸ばした背を見送った。
テンちゃんまで名前で呼んだ。
また連絡するってことは、また会うってことよね。
どれだけ親しいの。お互いに両親のことまでよく分かっている素振りだったし。
彼女の私を敵視するような瞳。
あれは、私の女の勘が劣ってなければ………
「ただの幼馴染。俺が好きなのはお前だけ」
…テンちゃん、私の心を見透かした。
きっぱり、ただの幼馴染と言ったけども。そう思っているのは、テンちゃんの方だけかもしれませんよ。
俺が好きなのはお前だけ。そう言われたことで少しは小さくなったものの、膨らむ想像は、私の心と頭に不安を植え付けた。
これが嫉妬ならば、こんな醜い感情、知られたくない。
テンちゃんに知られないように、私はほんのり紅くなった頬を緩め、笑って見せた。