青いスクラブの王子様。~私が惚れたのは、一等級の外科医だった件~
ネットの写真を見るのと、実際に見るのとはまた違う。
ご挨拶の場となる、都内では誰もが知る老舗料亭、〝あずきやま〟は、上質な和の雰囲気。
あずきやまの特別個室が予約されており、私たちは着物を着た綺麗な女性に案内された。
女性に案内されたあと、個室の奥に続く廊下の先に、溝に車椅子のタイヤを挟み身動きが取れない様子の年配女性がいた。
周りに人は私たちしかいないので、駆け寄り、おばあさんに声をかけ車椅子を廊下の真ん中に移そうと試みるも、中々動かない。
申し訳なさそうに「ごめんねぇ大丈夫よ」というおばあさんだが、シワシワの手と顔をみると、はいそうですかとは去れない。
どうしようかと考えあぐねていると、テンちゃんが追ってきた。
彼は車椅子ごと軽く持ち上げ、無事、溝からタイヤは外れた。
「ありがとうねぇ」とにこやかに車椅子を進めたおばあさんに、私も自然と笑みがこぼれた。
隣のテンちゃんも私と同様、笑みを浮かべている。