Sweet break Ⅳ
我が社の社員証には、名前と顔写真の上に、各部と課が示され、総務課だけはさらに係まで書かれている。

『未来君、この社員証って、総務課だけ係まで明記されてる上に、うちら庶務係だけ目立つように赤字になってるって知ってた?』
『あぁ、これってやっぱり理由あったんですね』
『うん、この赤字はね、業務に関係なく、誰でも気軽に声かけられるようにって、前から我が社の決め事らしい』
『なんだ、やっぱり庶務って”何でも屋”じゃないですかぁ』

未来君は、壁にもたれたまま、大げさに天を仰ぐ。

その子供みたいに拗ねた様子がおかしく、また笑ってしまうと、『笑い事じゃないですって』と、更にふてられる。

『未来君は、”何でも屋”は嫌なの?』
『別に、嫌ってわけじゃないですけど、なんか軽く見られてる気がして…』
『そうかな?』
『朱音さんは、嫌じゃないんですか?』
『え、私?』

真顔で逆質問されて、一瞬戸惑うも、入社してからこの2年間、思ったことや感じたことを改めて考えてみれば、案外答えは簡単に出てきた。

『私は…嫌じゃない、かな』

通路の途中で呑気に立ち話を始めた私達の横を、何人かの社員が通り過ぎる。

通り沿いの窓からは、眩しい程の陽光が燦燦と降り注ぎ、一週間前の嵐が嘘のようだ。
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