カラダから始まる政略結婚~一夜限りのはずが、若旦那と夫婦の契りを交わしました~
にこりとする彼につられて頬が緩む。まさか、最後のサプライズが屋形船クルーズだとは思わなかった。
案内されて船内に入ると、少人数での貸し切りに合わせて作られた可愛らしい見た目に似合わず本格的な和のテイストで、掘りごたつ式の席になっていた。
窓からは都会の夜景も見えて、気分が上がる。
こんな素敵な空間を貸し切りできるなんて、夢みたい。
出航すると、やがて料理が運ばれてきて、テーブルの上に並べられていく。新鮮な刺身や天ぷら、そぼろ餡のかかった煮物などの純和食だ。
口に入れた瞬間、ほっぺたが落ちそうになるほど美味しい。
「桃は、和食が好きだよね」
ふいにそう声をかけられて、隣を見上げる。
「はい、好きです。そんなに分かりやすかったですか?」
「前に一緒にご飯行った時も和食のページばかり見ていたし、家で作ってくれるのも魚や煮物が多かったから、気に入るかと思って今日も和食にしてもらったんだ」
「わざわざ頼んでくださったんですか。ありがとうございます。それにしても、よく見ているんですね」
「他でもない自分の妻のことだからね。好みを知っておきたいだろ?」