カラダから始まる政略結婚~一夜限りのはずが、若旦那と夫婦の契りを交わしました~
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「和カフェで買ったお土産の最中、美味しいです」

「よかったね。たくさんお食べ」


 屋形船のデートから三日経った夜、仕事を終えて珍しくふたり揃って退勤した。

 茶の間で夕飯後のまったりタイムを過ごしていると、向かい合って座る彼は、テーブルに頬杖をつきながらこちらを見ている。

 デートの日から、以前よりもふたりで過ごす時間が増えた気がする。

 家が広くてもほとんど同じ部屋にいるし、茶菓子を用意した千里さんに、「一緒に食べない?」と誘われることが多くなった。

 こちらも、初めの頃の警戒はすっかり解いていて、素直に誘いにのってどら焼きや豆大福を頬張っている。

 それは、決して和菓子に惹かれて餌付けされているわけではない。ふたりで過ごすひとときが楽しいのだ。


 ーーブブブ。


 そのとき、テーブルに置いていた彼のスマートフォンが音を立てた。メッセージを受信したようで、無言で目を通している。

 いつもはすぐに画面を消して会話に戻るが、今日は違った。

 届いた文章を読むや否や、険しい顔で立ち上がる。

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