カラダから始まる政略結婚~一夜限りのはずが、若旦那と夫婦の契りを交わしました~
「そんな……たしかに、初めはお互い他人行儀でしたけど、苦しんでいるとは思えません」
「あなたには見せていないだけよ。私には素直に言ってくれるわ。桃さんを愛せないって」
これはハッタリ?
でも、私は千里さんと美冬さんが頻繁にやりとりをしているのを知っている。茶会のときだってそうだ。
このふたりには私の知らない歴史があって、ずっと長い間そばにいた。私に言えない話を幼なじみにできるのはあたり前なの?
まわりまわって耳にした彼の本心が信じられずに動揺する。
「お言葉ですが、千里さんは私をちゃんと愛してくれていると思います。大切にされていると感じるときだってありますし」
「言ったでしょう。千里は優しいから、心を殺して旦那を演じているだけよ。本心では、あなたを愛しているはずがないわ」
「どうしてそんな断言ができるのですか」
雲行きが怪しくなったとき、私の問いを受け、美冬さんが表情ひとつ変えずに言い放った。
「決まっているじゃない。私たちが付き合っているからよ」