カラダから始まる政略結婚~一夜限りのはずが、若旦那と夫婦の契りを交わしました~
縁側から庭園を見ると、パンツスーツにノーネクタイ、ワイシャツを腕まくりした青年の姿がある。
それは、鳴海くんだ。美澄屋での和装に見慣れているせいか、まったくの別人に見えた。
美冬?今、呼び捨てにした?
千里さんに全てを打ち明けた夜、酔い潰れた日にバーで飲んでいたのは鳴海くんだったと聞いていた。
飲み比べのようになり、つい飲みすぎてしまった千里さんを介抱してくれたそうだが、その先は当の本人がぐっすり眠っていたせいで曖昧らしい。
バーと同じビルに入っているホテルで撮られた写真が美冬さんの手に渡った経緯は謎で、ふたりの関係も真実もわからないままだったが、まさか、本人がここに来るとは思わなかった。
つかつかと歩み寄った鳴海くんは、靴を脱ぎ捨てて、縁側に上がった。
美冬さんの側にしゃがんで片膝をついた彼は、やがて語りだす。