カラダから始まる政略結婚~一夜限りのはずが、若旦那と夫婦の契りを交わしました~


「ごめんね。俺が油断したせいで、桃を苦しめた」

「いいえ。千里さんのせいではありません。千里さんの言葉、嬉しかったです。……私のほうこそ、すみません。ほんの少しだけ、本当に美冬さんと付き合っているのではないかと思ってしまいました」

「俺がどれだけ桃を好きか、伝わっていなかったってこと?」

「えっと、その、大切にしてくれているのはすごく感じていましたけど、始まりは政略結婚ですし……女としてはみられていないのかな、って」

「は?」


 無意識に溢れたような声が聞こえた。

 いつもの優しい口調とは少しズレたトーンに驚いて顔を上げると、彼はため息のあと、もどかしげに眉を寄せている。


「そんなわけないでしょう。ふすま一枚隔てた部屋で、俺がどれだけ我慢してると思ってるの」

「が、我慢していたんですか」

「あたり前だろ。桃との初めては俺が勝手に奪っちゃったから、これからは、ちゃんと気持ちが俺に向いてくれるまで手は出さないって決めていたんだ」

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