カラダから始まる政略結婚~一夜限りのはずが、若旦那と夫婦の契りを交わしました~
まっすぐな言葉に、強く胸を打たれる。
これは、千里さんが今まで胸に秘めていた本音だ。
なにを考えているのかわからなくて、ただ危険な口説き文句と誘う仕草に翻弄されていたときとは違う。
恋に慣れないながらも歩み寄って、お互いを見つめ合った先に芽生えた感情は、混じり気のない純粋な愛だった。
「私も、千里さんが好きです。もう、我慢なんてしなくていい。あなただけに触れてほしい」
心のままに声が出ていた。
誰もいない場所で、ふたりしか聞こえないやりとりを交わして、感情がたかぶって抑えきれない。
嬉しくて、むず痒くて、温かい気持ちに包まれる。胸の深いところまで染み込む愛の言葉は、涙が出そうになるほどの幸福感を与えてくれた。
もう、なにも不安はない。
千里さんと心が通じ合えただけで、充分だ。
両肩を掴んでわずかに離れた彼は、頬を染めてもどかしげな顔をしていた。こんな感情がダダ漏れの表情、初めて見る。