カラダから始まる政略結婚~一夜限りのはずが、若旦那と夫婦の契りを交わしました~


「ん、んんっ」


 カクテルよりも甘いキスだ。初めての感覚に思考が止まり、体の力が抜けていく。

 イケナイコトを教えられているような口づけは、手加減しながらも熱っぽく、ふわふわして気持ちいい。

 だが、私は急いで胸板を押した。罪悪感で押しつぶされそうになる。


「だめ、です。こんな……今日会ったばかりで、しかも、私は他の人の妻になるのに」

「好きにならないって断言してた男に操を立ててるの?健気だね」


 直球なセリフにどぎまぎした。

 こんなの、許させれるはずがない。嫁ぎ先が決まったその日に、他の男性と恋人みたいな真似をするなんて。

 もっと触れられたいなんて、はしたない期待を抱いている自分が一番どうかしている。


「余計な感情は無視しなよ。君の中のイイコちゃんは、今日は早く寝てもらおう?」


 甘いささやきが耳をくすぐった。


「駅まで送るつもりだったけど、君を手放したくない。もちろん、無理強いはしないよ。……どうしたい?」

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